統計から見るエンディングノートと遺言書の現状!何割の人が準備している?

「終活って、まだ先の話だと思っていました」
そう口にする人が多い一方で、実際にはいつ訪れるかわからない“そのとき”に向けて、少しずつ備えを始める人も増えています。

終活の代表的なツールといえば、エンディングノート遺言書
役割や書き方の違いはよく取り上げられますが「実際に、どれくらいの人が書いているの?」という現状については、まだあまり知られていないかもしれません。

今回は、最新の統計をもとに、「エンディングノートと遺言書の“いま”」を見つめてみましょう。

7割が“何も準備していない”という現実

日本法規情報株式会社が2023年に行った調査では、終活のために何かしらの準備をしている人は全体の31%にとどまりました。
裏を返せば、約7割の人が「まだ何もしていない」ということになります。

さらに、エンディングノートを書いたことがある人は全体の26.7%遺言書を作成した人は13.2%とどちらも決して多いとはいえません。

ただ、コロナ禍をきっかけに「最期」を意識する人が増え、終活をした方がいいと感じている人は多いです。

65歳以上の男女にアンケートをとったところ、48.8%の方がエンディングノートや遺言書を残したいと回答しています。

💬 どちらも関心はあるものの、
「まだ早い気がする」
「何から始めればいいのかわからない」
と感じている人が多いようです。

【年齢別データ】エンディングノートは50代から、遺言書は60代以降に急増

以下は、2022年に行われた調査結果の抜粋です。

年代エンディングノート記入経験遺言書作成経験
40代13.1%3.8%
50代24.2%6.4%
60代36.7%15.2%
70代以上43.9%28.4%

エンディングノートは、「終活の入り口」として50代から関心が高まり
遺言書は、相続や財産分与を現実的に考え始める60代以降に増える傾向があります。

法務局での遺言書保管は9万件超に

2024年(令和6年)に全国で作成された公正証書遺言書の件数は12万8,378件でした。
これは、2014年以降の動きを見ても比較的高い水準にあり、全体としておよそ10万件前後で推移しています。

特に2020年はコロナ禍の影響や次に話す自筆遺言書保管制度がスタートしたこともあり、9万件台に減少しましたが、その後の5年間で再び増加傾向に転じています。

2020年にはじまった「自筆証書遺言書保管制度」は、自筆で書いた遺言書を法務局で保管できる制度で、利便性や安全性の面から注目されています。

法務省の統計によると、2025年3月時点での累計保管件数は9万4,381件
制度開始以降、毎月1,000~2,000件のペースで保管件数が増えており、利用が広がっていることがわかります。

ただし、遺言書には法的な要件があるため、形式に不備があると無効になる可能性もあります
遺言書を作成する際は、法律のルールを確認しながら、慎重に進めることが大切です。

💡 遺言書は増えているけれど、微増。
実際に書かれているのは、まだ限られた層で「特別な人のもの」というイメージも根強いのが現状です。

エンディングノートは「気持ちの整理」にもなる

遺言書が法的な効力を持つ一方で、エンディングノートは「家族に向けたメッセージや想いを自由に残せる“心の記録”」でもあります。

市区町村や葬儀会社からの配布や書店での購入、またノートに自由にかけることもありチャレンジされる方は増えています。しかし、一人では書き切ることが難しく書けていない方も多く存在するのが現状です。

ただし、実際にエンディングノートを書いた人への調査では、80%以上の人が「書いてよかった」「気持ちが整理された」という回答結果が。

書いたからこそわかる気持ちがあるからこそ、年代問わずノートを書いてみることを満ち活ではおすすめしています。

人生の最期を考えることは、今をどう生きたいかを見つめること。
学生など若い方にとっても「自分らしさ」や「大切にしたいこと」に気づくきっかけになるのです。

🌸 エンディングノートは、「何を書くか」よりも「誰に、どんな気持ちで伝えるか」が大切。
書くことそのものが、未来へのやさしい準備になるのです。

利用状況から見えてくる、ふたつの役割のちがい

あらためて、統計で見えてくる“現実的なちがい”を整理してみましょう。

エンディングノート遺言書
書き始める傾向が高まる年代50代から意識され始め、60代以上で増加60代から急増
作成後の満足度明確な統計はないが、多くの人が「作ってよかった」と回答慎重な姿勢もあるが、家族間トラブル防止で評価が高い
主な役割気持ち・希望・情報の整理、家族へのメッセージなど財産・相続の指定、法的効力のある意思表示

📌 エンディングノートと遺言書の役割や効力の違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです:
👉 エンディングノートは遺言書とどう違う?『今』を整える未来の準備

おわりに:数字の裏にある「想い」に目を向けて

統計を見ると、多くの人が「まだ何も準備していない」というのが現状です。
でも同時に、少しずつでも始めた人たちは「気持ちが軽くなった」「家族への思いを形にできた」と感じています。

もし、あなたが「そろそろ何か始めようかな」と思っているなら、まずは一枚の紙に、今の自分の想いを残すことからでも十分です。

エンディングノートも遺言書も「最期のため」だけでなく、「今を大切に生きるため」の道具。
数字の裏にある想いに耳をすませて“自分らしい準備”を始めてみませんか?

📌 あわせて読みたい:

エンディングノートって何?遺言書とどう違う?『今』を整える未来の準備

※ 参考資料・出典一覧

  1. 令和6年の遺言公正証書作成件数について | 日本公証人連合会
  2. 遺言書補完制度の利用状況|法務省
  3. 【全国意識調査】終活、7割以上が「何もしていない」SNSアカウントは「削除してほしい」が過半数 | 株式会社 パズルリングのプレスリリース
  4. 「終活意識全国調査」(2023年 日本法規情報)

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